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          このお話は 「ギャロップ」 のその後のエピソード集です。
          一部、投稿先での雰囲気にあわせて執筆した所もございますが、そのまま掲載しています。
          あらかじめご了解下さい。


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◆第1段階◆ 学科 「馬基本知識」 (教官ウナス隊長)

「葦毛は白い毛並みに黒や褐色混じりのものを言いますが、ほら、あれなんかがそうですよ。少し全体に青っぽく見えるでしょう? あっちのメスの栗毛はミヌ―エ将軍のお気に入りです。」
「ふーん。じゃあ、ウナスのは?」
「向こうで草を食んでいるやつですよ。ああ、あのファラオの黒駒と白駒は兄弟なんです。」
「へぇー。そうなの?知らなかったわ。ねぇねぇ、じゃあそれぞれの名前は?」
「特にはありませんが・・・?」
「えぇっ?そんな、毛並みの色だけじゃ不便じゃないの?間違えない?こんなに沢山いて」
「それは大丈夫ですよ。相手は自分の半身みたいなものですからね。」
「うーん、でも呼び名はあったほうがいいわよ。無いなら勝手につけちゃおうっと。」

王宮の外れにある広大な馬場。キャロルはウナスの説明する馬達を面白そうに眺めていた。

「まぁとにかく、一口に馬といっても、色々種類がございますから、まずはそこから覚えていただきましょうか。伝令用、運搬用、あちらの馬場で今調整中なのが戦車用です。ここで一番多いのは単騎専用で40頭は常備しています。・・ああ、このあたり足元にはお気をつけ下さいよ。」

厩までキャロルを案内し、ウナスは少々戸惑いながら解説を始めた。
ファラオから直々に案内役を仰せつかったとはいえ、(あの)キャロル様に御乗馬を教えるなど本気だろうかと未だに納得しかねていた。

「このへんはワラや糞ですべりやすいですから・・」
「キャ――――っっっ」「キャ、キャロル様っっっ!?」
「ど、ど、ど、どうなさったんですかっっ」

耳をつんざく悲鳴に蒼白になって振り返る。怪我などされては一大事だ!!

「・・・・それ・・ふんづけちゃった・・・」
「はぁっ?」

指をさされた先を見て頭をかかえる・・・
なきそうな顔をしてキャロルは○○○の中に見事に方足をつっこんでしまっていた。
やれやれ、と手を貸して王妃引っぱり洗い場まで直行。

「――だから言っているじゃありませんか。もうおよしになられたほうが・・」
「だっ、だめよっっ!!こ、こんなことぐらいなんでもないわよっっ。」
「しかし・・」
「いいから!ああ、もう大丈夫よ。ありがとう。さ、ウナス!ねえ、私が乗ることになってる馬はどこにいるの?」

サンダルごとバシャバシャと水を掛けてもらった厩の者に礼を言い、懲りずにとっとと馬場に向かって駆けて行く。

「苦労するのぅ。あんたも」
「まったくだよ。オヤジさん、ここ、いつでも使えるようにしておいてくれるかな?」
「まかしときな。おわっ!あぶないっっ!!!」「えっ!」

馬場の方からキャロルの悲鳴がまた響く・・・。今度はくぼ地に足を引っ掛けたらしい。近くに詰めていた兵士が慌てて駆け寄り助け起こしている。

(乗馬より平地を歩く練習された方がいいんじゃないのか?!)

・・・まったく前途多難である。


2001年 「ししぃの館」投稿作品





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