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ロディ考察
【〜 なぜロディはキャロルに助けを求められないのか 〜】
紋章新聞・(α月β日)朝刊 読者の広場より   
投稿者:匿名 神官P



本誌上、出番は極度に少なく、リード家において一番存在感の薄い人物であるロディ・リード
しかし、色々と考えてみると誠に興味深いキーパーソン(重要人物)である可能性が高いキャラクターであるとわたくしは考える。
その存在意義は、主人公キャロルに多大な智慧を与えた直接の影響者であるということ。
ライアンでも父リード氏でもなく、ロディがキャロルを神の娘たらしめた一番の師ともいえるはずなのだ・・という結論を導いた。
これはあくまで推理ではあるが、このリード家の構成と生活様式から考えみて、「なんとなく」浮かび上がってきたロディ・リードに対するわたくしの私的考察である。

ロディ・リードの情報を簡単に羅列してみよう。
アメリカ大富豪リード家の次男・金髪(おそらく碧眼)。
兄ライアンとともにリード財閥のオーナー的仕事をしている模様(そのはず。)
世界中を飛び回る父やライアンに対し、彼はエジプトに拠点を置き、カイロ市内のリード邸に居住。
父が出資した王家の谷の遺跡保存事業に先頭で関わっており、発掘現場に一番乗りできる特権を持っているところから、単なる出資者だけではなく、なんらかの考古研究に関わっている可能性も大。
・・・・というところだろうか。

ここでロディの住まいがアメリカではなくエジプトを本邸のように暮らしている様子から、このエジプトの邸宅はもともとロディの為の住居として用意されたものではないだろうか?と推理する。
いくら末っ子の愛娘キャロルが愛すべきわがままで中学か高校の年齢でエジプトに留学を願い出たとしても、有閑マダムの母はともかくロディまで一緒に、その本人が当時たずさわるべき本業であろう勉学や仕事を放ってまで妹と行動をともにするだろうか?と思うのだ。いい年齢をした青年が・・だ。ぼんくらの放蕩息子で極度のシスコン・・というわけでもなさそうなのだから。

そこでこう考えたらどうだろ?
一番最初にエジプト文明に興味を持ち、その歴史に魅せられ、エジプト留学を果たしたのはロディだったのだとしたら・・・。
アメリカにいた幼少の頃から歴史に興味を持ち、男の子特有の丸暗記熱中ぶりから「古代エジプト文明おたく」となり、ちびっこ博士ともてはやされ、そして果ては念願のエジプトの大学へ進学。アラビア語・ラテン語も習得し、本格的な研究をするためエジプト考古庁などの研究員としてキャリアを重ねていく中、実家の文化事業もエジプトに参入し、実力・実益かつ本人的趣味とも合致している適任者なロディが発掘事業のオーナー兼主任に抜擢された・・・と。
そういう背景があれば、独立したロディ自身の自宅としてエジプトにあれほどの邸宅を持っていたとしても、そう不思議ではないだろう。

妹キャロルは比較的年の近いほうのロディ次兄の影響を無意識の内に蓄えていったと考えられる。
いわゆる刷り込み現象に近いものがあったのではないだろうか?
兄の趣味が妹にうつることなどよくあることだ。
もしかしたらキャロルはリード夫人のお腹にいたときからずっと、既に完全なエジプトオタクであったロディが口ずさむ不可思議な王名表の呪文のような羅列や、死者の書の朗読などまで毎日のように聞かされ続けていたのかもしれない。

物心つくころには、身近に転がる次兄の「エジプトコレクション」(ウシャブティやスカラベ、ヒエログリフパズル等)で遊ぶようになり、エジプトというものが彼女にとってもなくてはならない存在となったということも想像に難くない。
そして、ついにおたく化した彼女の口からも「エジプト留学」の希望が両親に告げられることに。
そこで真っ先に考えられたのは既にエジプトに研究者として在住していたロディの存在だろう。
女の子を一人で、しかもリード家の掌中の玉である末娘キャロルを外国にやるなどとても許せることではなかったが、それなりに実績のある次男のサポートと監視が常にある場所へならOKも出ようというもの。ロディの熱心な賛同もあっただろうし、恐らくこの事がキャロルのエジプト留学への原動力として有効に働いたのではないだろうか?
確かにキャロルは賢い娘だっただろう。努力家でもあったし、なんでも知りたがるとても熱心な勉強家だ。だがそれだけではない、疑問を問えばすぐに答える身近で最強の専門家庭教師が身内にいたのだ。
留学への受験勉強はもちろん、在学中も、ロディの蔵書や彼のお役立ちレクチャーは多岐にわたり、将来の「未来を読む力」ともてはやされる彼女の雑学叡智も、この次兄からの手ほどきあってのたまものだろう。(清水の作り方やサバイバルな知識は、きっと次兄につれられて行った沙漠の発掘現場などでの詰め込み実地体験からの応用であろう。)

ではなぜそれほどキャロルの人生に影響を及ぼし頼りになる次兄が妹の口から無視されているかのごとく話題に上らないのか?
わたくしが思うに、それはきっとあまりにキャロルと「同質すぎた」からだと思われる。
恐らくライアンは兄というより彼女にとっては親的存在だ。父が亡くなってからは特にその度合いが大きくなったことはいうまでもない。
きっとライアンとキャロルとは最低15歳以上は年齢がはなれていると予想する。
何をするにもおそらく価値観の違いやジェネレーションギャップがロディよりも大きすぎて、兄というより両親に順ずるほど絶対的な存在で、こうだと決められたり叱られたり怒られたりすると対抗することすら出来ない感覚があったのではないだろうか?自分にとって絶対勝てない相手というやつだ。そしてこの親同様の愛情をライアンも異常に持っていたため(極度のシスコンだったため)、キャロルにとってはライアンは親同様の無条件の庇護をくれる存在でもあったわけだ。キャロルが呼べば(またはおねだりすれば)本当に何をさておきライアンは自分を最優先してくれるものだから、もうこれは思わず反射的に繰り返してしまう「助けてドラえもん!」反応にも似ている。

ところが、ロディの場合は少し違う。
シスコンで妹に甘く弱いのはリード家の家風だから同じ・・・といえば同じなのだが、何と言ってもロディはキャロルにとっては生まれた頃からの師であり同士でありライバルでもある。互いに協力もするし、話もとても合う。思うにリード家の会話に聞き耳を立てることができるとするならば、絶対にロディとキャロルの2人が議論や意見を言い合ったり話し込んでいる時間がトータル的に長いと思われる。特に古代エジプト話題になってしまうとライアンは「ふーん。そうかい。」と聞き役に徹するだけだったろう。
キャロルにとってロディが頼りにならないわけではない。
それどころか絶対の信頼を預けている。
ただ、同等というか、対等な理解者という意識があるので、すぐに甘えるのを良しとしない。
生涯離れることのない心の友ともいう感覚・・・・。
誰でもそうだろうが、自分にとって一番の心の友にはいつもいつもむやみやたらと「助けて」とすがれるものではない。ロディが呼ばれないというのはそういうことなのではないだろうか?

ふと思い巡らす想像上のロディの経歴・・・
こうして推理していると、結構すごい人なのかもしれないと思わずにはいられない。

(追記)
蛇足だが、ロディがジミー対して(ちょっと)甘いのも、同じ考古学を愛する先輩後輩(弟分)関係だからだとか、大学時代にロディの恩師がブラウン教授だったとの師弟関係があるからだとか・・色々裏相関図を考えてしまう。
とにかくロディは見えない部分(能ある鷹の爪)にたくさんの魅力を潜ませている不思議な人物だと思う。


Fin.


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