王家の谷へ
Presented by みんみんまま様
回 顧
此処は沙漠
――――灼熱が天地は己のものよと地面を這いずり、翔け踊る
―――――――――気の中にても荒れ狂い、舞う場所
そんな人外と呼ばれしその場所にて
人中にても
人でなしと呼ばれ―――蔑まれ―――怨まれた
熱い・・・熱い人々が憩いあう
そんな人いきれの只中に―――
可憐な少女が立ち竦む
しかし、その力弱き筈の少女の瞳が
万華鏡のようにくぅるりくるりと
光を乱反射し跳ねるその純水を張ったようなその瞳が―――
穢れし人々と呼ばれし人々を清冽に濾過した―――
やさしく――――優しく――白き手の魔法によって
透明感にあふれ、慈愛にみちるべく・・・
その金の光にて渡る道を指し示してくれた
「暑いよ、これを使いなよ」
渡してくれた布――――古く擦り切れてはいたが
それは彼女を守るべく、頭から覆いつくす―――――
「よかったら、この籠使いな。内緒だぜ。これが一番小さいんだ。いつもはおいらが使ってるんだけどよ。あんたが他の籠使って運んでいたら重いだろうしよ」
「水をどうだい。初めてじゃぁ辛いだろう??」
「あの監督官には気をつけな。二枚舌もってやがるぜ」
彼女は笑みをたたえて謝辞を述べる.
まるでそこは社交界、紳士に対するように――――
そう、彼女はか弱き雛鳥―――真白の幼子―――
皆の腕で抱きかかえ――――穢れし者と蔑まれし人々が肩寄せ守る
そのか弱き雛鳥は不意に現れた猛禽によって浚われ行ってしまった・・・
後には「空」の場所が切なく漂うばかり―――――
悪戯に人の気持ちを弄びながら・・・
「あなたに入れられた工事現場の苦役を思い出すわね」
「よく無事にもどったものよのぅ・・・」
「あら、みんな親切にしてくれたわよ」
「!」
猛禽が雛鳥を穏やかに――時に激しく―――ついばみつくす
そんな青の空が気の中を横たわり包み渡る
―――ある日の午後の物語り―――
Fin.
王家の谷へ